Little Gang

私は、兄さんの指示に従ってRoseliaのアジトへと向かっていた。

・・・絶対に許さない。

強い憤りを抱きながら一歩一歩、足を進める。

はず、だった・・・。

呼び出された場所は駅前の綺麗な建物。

あまりの大きさに驚いて天辺を見上げた。

ものすごく、場違いな気がする。

念の為、メールを間違いがないか確認するが、呼び出された場所は確かに“ここ”で・・・。

私が歩む道は、たったひとつしかない。

全ての哀しみを、この手で終わらせる。

私に残された希望は、たったひとつ・・・。

どうか。

みんなの未来が、

“希望”で満ち溢れていますように。

みんなの世界が、

“愛”に染まりますように。

そう暗い曇天に願いを祈ったとき、ポケットで携帯が震えた。

携帯の画面を見て、息を飲む。

兄さん・・・?


『お呼びでしょうか?』


「迷子になるとは思えないが、仲間をそっちに向かわせた」


『あ・・・・、はい』


過保護かよ。


「狐に荷物を預けてある。 お前の歓迎祝いだ。返品交換は受け付けない」


『ありがとうございます』



フリマに出店してやろうか・・・。



「その堅苦しい敬語はやめろ。 昔に戻って、昔みたいに喋ってくれないか?」


『・・・命令、なのであれば』


「ああ。 命令だ」



わ、兄さんめっちゃ怒ってる!!!

声、低いっ!



『アンリは・・・シスコンだよね』


「悪かったなシスコンで」


わお、自覚あるんだね。 お互い様に・・・。


「お前は違うのか?」


「お待たせ」


『・・・・!? 狐、さん・・・?』


電話を切って、声の聞こえた方へ振り返れば、そこには狐のお面をつけた男の人がいた。



「僕は何でも屋の“ジロー”。 君を迎えに来たよ」



・・・説明、なし?

唖然としてるうちに手にドサっと有名なファッションブランドの袋を載せられた。


『え、これ・・・』


「着替えてきて。 あ、荷物は預かるよ。 終わったら上の階に“CiRCLE”っていう店があるから、そこに来てね」


・・・ジローは?

そう聞く前に踵を返され、私は支度を整えようと躊躇せず中に入った。

中も綺麗で広かった。 イケてるメンズものの服がたくさん並べてある。

私の第一印象は、“高そう”だった。

そして奥から後ろでギュッと髪を結んだ、20代前半くらいのイケメン店員さんが出てきた。

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