Little Gang
そしてーー季節が変わって、9月。
サクラさんと共に長年に渡って叩き込まれた、【家政婦計画】が、ついに始動した。
・・・終着点はともかく、始まった時点で私にとっては“成功”したと言えた。
アイジさんの意志を穢さず、そしてルナさんには狂愛を芽生えさせ、シュウさんから信頼を勝ち取る。
それだけでも、十分な成果だったから。
同時に、苦痛でもあったけどね。
なぜなら、純粋な好意を向けられるにつれて、日に日に罪の意識も増えていった。
麻痺した心に、人間らしい喜怒哀楽が生まれる。
気付けば私情を挟むだけでなく、自分で賽を振ったゲームに迷いが生じていた。
躊躇えば仲間の命を危険に晒す。
恐怖や弱音などのマイナス思考は、長い髪をバッサ切ったあの日に捨てたはずだった。
自分のせいで誰かを傷つけるのは嫌だから、真っ先に家族を切り捨てたのに・・・。
ならば、誰かの意見に左右されない意思の強さはどうすれば育つ?
揺るぎない正義感で悪を裁き、
どこまでも真っ直ぐで健気な心を持つ、
人の哀しみに寄り添える人間。
答えのない問いだと知りながらも、私はそれを求めていた。
結果としてーー今現在。
私はみんなを“執行者”に選んでいる。