Little Gang
黒猫の隠れ蓑
非日常の幕開け
ハルカside
染谷さんがRoseliaの一員になって、3ヶ月ほど経った。
今日は午後からの出勤のため、僕は久しぶりにのんびりとした朝を過ごしていた。
クロワッサンとホットチョコレートで、少しだけ贅沢な朝食を堪能する。
〜♪〜♪
あ、染谷さんだ・・・。
『ユダの選定を命じられた』
思わず、息を飲んだ。
ユダ。 それは、裏切り者を意味する。
『期限は、10日間。クリスマスの前日までに、調査結果を出すようにと』
染谷さんがどんな意図でそれを告げたのか、探る意味合いもあって慎重に文字を打つ。
『上に報告する?』
『まるでユダに心当たりがある口振りだね』
『炙りだすなら好都合なタイミングだよ』
『・・・と、申しますと?』
『僕が一番疑わしいから』
『なぜ? 私は君を信用してる』
『地獄に付き合ってよ』
あの【抱擁】から2日。
染谷さんはこうして定期的に、僕の様子を心配するメールを送ってくる。
昨日、自宅に帰った後なんて・・・。
【戸締まり、黒ずくめには注意!(`・ω・´)ゝ】
というメールが届いて笑ってしまったくらいだ。
・・・嬉しい。
それが、今の素直な気持ちだった。
たとえ染谷さんの全てが嘘だったとしても、こうして少し前までと同じ関係に・・・。
いや、それよりも心の距離が近づいた気がして。
まっすぐで優しくて、どんな困難にもくじけない芯の強さを持ってて・・・。
半端な勝負はしない人。
やると決めたら最後までやってのける人。
直接手を下したのが誰であろうと、Roseliaの関係者は全員逃がさない。
もちろん、Roseliaの姫である彼女も。
それでも君と地獄の旅を続けてるのは、染谷さんの一挙手一投足が腹立つほどカッコいいから。
だから染谷さん。
迷ったなら、カッコいいと思った方を選んで。
・・・僕も、強くなるよ。
染谷さんの隣にいられるように、強く。