Little Gang
「ぐあ・・・っ」
『こんなもの振り回したらダメだよ』
馬乗りになって地面に押さえつけると、お姉さんは手を捻り上げてからナイフを取り落とさせる。
「放せゴラァ! テメェには関係ねぇだろーが!!」
『関係あります。 私六花だからね。 正義が悪に屈したらダメでしょ』
「嘘言うんじゃねぇ! あんだけ強くて、男気持った奴、女な訳ない!!」
『へえ。 私男だと思われてたんだ』
暴れる犯人を淡々と押さえつけるお姉さんに駆け寄り、俺は凶器であるナイフを確保した。
「お姉さん、怪我は・・・!」
ユウタがお姉さんの服を引っ張って、また心配そうな目を向ける。
「見ての通り。 怪我してるのはおバカさんだよ」
「よかった・・・」
お姉さんにナイフが向けられたときは肝が冷えたけど、ひとまずホッとする。
「くそっ、あの噂はガセネタかよ!」
お姉さんが犯人を確保してる間に、ユウタが周囲の人たちを誘導してると、ほどなくして耳障りな音が近づいてきた。
今回はたまたま居合わせたけど、私人逮捕だと手続きが面倒だ。
事情説明は国民の義務だから避けて通るのは皆無に等しいだろう。
無理。
だるい。
俺、警察嫌いだし。