Little Gang
『私、門限あるから帰るね』
何気なく時計を見てみれば、時間は17時に差し掛かる頃。
これから電車に乗って家につく頃には、完全に日が暮れてるのは間違いない。
「家まで送るよ」
『あーダメダメ、兄さんに絞められる』
「うーん・・・仕方ないか。 ユリさんが痛い目に遭うのは嫌だし」
心の底から残念そうにため息を吐くのはユウタ。
「あ、そうだ」
俺は名案とばかりに手を打った。
「なら、今日から俺の部屋にきて寝たら?」
『・・・それは、健全なやつ?』
「不健全の方がいいか?」
『男には飢えてないし』
「冗談だよ。 健全な方だから安心しろ。 前に約束した、ヴァイオリンの音楽鑑賞なんてどう? 」
『それはいいね』
「じゃあ、『でもごめん。 西郷家の人間に関わるのは許されてないんだ』
チッーーー。
俺がまた舌打ちをして・・・またも微笑むユリ。
そこらの女なら震え上がってるぞ。
『今日のことは忘れて、何もかも全部』
はっ?
声にはならないそんな空気・・・。
誰が・・・無かったことになんかしてやるか。
『これが本来の私だから』
「何が?」
『Roseliaは知ってる?』
「うん、俺たちが前に住んでたとこ、Roseliaがいたとこだから」
『じゃあ、総長、知ってる? 見たことある?』
「・・・ないよ」
『そっか。 総長は染谷アンリ・・・私の兄さんなんだ。 そこのナンバー2で特攻隊長が私』
そりゃあ・・・あんな犯人確保の現場を見せられたら・・・なぁ?
黙ってユリにうなずく。
『アイジさんを殺したのはさ?』
「うん・・・」
『私の兄さんなんだ』
ハッ・・・?
また声にならない、あの空気・・・。
「どうして? ユリさん・・・何を考えてるの?」
不思議そうな顔のユウタ。