ウェディングベル



「ちー兄最近うちにも来なくなったね、設計大変なの?」



「うん、ひと段落着いたら、またそっち行くから」



古屋千秋は本来ならば毎日私の家でご飯を食べている。


父親が病気で倒れてから、母親が看病に付きっ切りになって、古屋千秋は一人で家の番をしているのだ。


都会の大きな病院でしか治療できないというコトもあり、一人暮らし同然で、料理の才能が皆無の古屋千秋のために、うちの親が食事の面倒を見てあげている。他は自分でして居るらしい。


前まで一緒に夕飯を囲んでいたが、設計に熱中しだすと食事さえ後回しにするので、その夕飯を運ぶのは私の役目だった。


たった数歩歩けば辿り着ける隣の家にさえ行かなくなるほど、古屋千秋の情熱はすさまじい物だった。


それを口実に二人で小屋に居れるので、私はそれでも構わなかった。


いや、そのほうがよかった。




私は古屋千秋を、私の姉、柳玲(ヤナギレイ)に逢わせたくなかったのだ。






















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