ウェディングベル
設計図の終わり
お正月に、私の家に招かれた古屋千秋は父や祖父に酒を勧められた。
流石に新年の祝いの席なので、設計図に手を回すわけにも行かず、古屋千秋は私の家へ久しぶりに訪れ、そんな災難に見舞われていた。
私もどさくさに紛れて、普段は飲んだら怒られてしまう酒を喉に流し込んでは鼻にツン、と来る何とも言えない匂いに眩暈を覚えながら、それでも何口か喉に通した。
下の上で少し転がして、味わって、飲み下す。
幾度かその繰り返しをしていると、不意に姉に止められた。
「美里、まだ未成年でしょう?それくらいにしておきなさい」
「良いじゃない、今日は新しい年が始まるお祝いなんだから」
聞き分けの悪い私に、姉は困ったように眉間に眉を寄せて溜息をついた。
姉に言われる前に、もうそろそろ止めておかなければいけないと思っていたが、こう言ってしまった以上直ぐに止めるわけにはいかない。
それは姉の言いつけに従ったみたいで、何となく、癪に障るから。
私は慣れもしない日本酒を半ば吐きそうになりながら飲み干すと、立ち上がって部屋を出て行った。