夜叉時雨
「俺のとった行動が正しかったどうかは分からないけど、後悔はしていない。」
そんな言葉に弱い。
その言葉を口にする時後悔していないはずがないのに、
ただこの関係を続けていきたいだけだとわかっているのに。
私は「そっか。」と納得してしまう。
そういう男の顔はどこか情けなく、
今なら殺せそうに思えてしまう。
何度目だろうか。こうなったのは。
3回ぐらいまで数えていた気がする。
その後はわからない。
「そんなプライドのない女にはなりたくない。」
そう言っていた私のほうが輝いていただろうか。
今の方が男が寄ってくる。
だから今の方が輝いているのだろうか。
そもそも輝きなど意味があるのだろうか。
高校まで同じだった友人は、恋人と良くやっている。
幸せボケをしたような2つの顔をインスタグラムにあげている。
恋人がいない友人もおかしな色の飲み物や
可食部など殆どないような鮮やかな食べ物をあげている。
それを見る度にアテのない虚無感に襲われる。
食べ物がなんだ、車がなんだ、ブランドがなんだ。
気がついたらハイブランで埋め尽くされ、
満たされない欲をただただ補っているような私は。
どうするればいいんだ。
愛のないセックスをすればお金はもらえる。
とてもリスクの高い事ではある。
でもその一瞬だけ満たされた気持ちになる気がするし、お金も沢山もらえる。
こんなにいい事はないだろう。
恋人なんかいなくとも、友人と呼べる存在が無くなろうとも、私は生きていける。
もう原型は留めていないだろう。
どこにも私はいないだろう。
それでも私は私だから。大丈夫。まだ大丈夫だろう。
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