続・政略結婚は純愛のように
再びの秘書室
「由梨先輩のお弁当、今日も美味しそうですね~。」

昼休み、自宅から持参したお弁当をデスクに広げた由梨の後ろから後輩の西野奈々が感心したように声をあげた。
 今井コンツェルン北部支社の社長秘書室である。
 今井由梨は振り返って微笑む。

「ありがとう。でもいつも残り物よ。」

 今日の献立は、昨日の残りの煮物と酢の物、それから作り置きして味をつけておいた茹で卵だ。
 
「今井さんってお嬢様育ちなのにずっとお弁当なのね。」

向かいの席の長坂がパソコンの隙間からメガネを覗かせながら言う。

「自分で作ってるの?珍しくない?家にはずっとお手伝いさんがいたんでしょう?」
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