続・政略結婚は純愛のように
 山辺が言ったとおりの話があるとは到底思えないけれど、会社にはいろんな年齢層の社員がいて、由梨を悪く言う人達だけではないという話はストンと府に落ちた。

「良くも悪くも注目されてた二人の結婚だからね。いろいろ言われるのは仕方がないわ。でも、何をしていても嫌なことを言う人はいるものよ。…全然次元は違うけれど、私だって一部の人からはいろいろ言われてるのよ。」

「え?山辺さんが?」

山辺は企画一課のエース的存在である。
 そんな山辺のどこを非難するのだろうかと由梨は首を傾げた。

「…女性がね。結婚してましてや子供もいて、それでも第一線でやろうと思うといろいろ言う輩はいるわ。外野だけじゃなく、身内からも…。」

あ、と気がついて由梨は頷いた。
 それはそうかもしれない。
 由梨も結婚したのに仕事を続けるのかと言ってきた加賀家の親戚がいた。
 その時は隆之がうまく庇ってくれたけれど。
 子供がいれば尚更かもしれない。
 そして由梨はまるで自分だけが辛い立場にいるかのように思っていたことを反省した。
 みんな、それぞれの立場で葛藤を抱えているのだ。
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