続・政略結婚は純愛のように
隆之の東京出張
 山辺との会話の内容は由梨の心に残り続けた。
 会社には沢山の社員がいて皆それぞれ考えは違う。
 由梨のことを悪く思う人もいればそうでない人もいる。
 そしてそもそも興味もないという人もいるのだ。
 それを頭に入れて社内を歩けば、廊下で女性社員がかたまって話をしていても怖くないし、天川と一緒に社食に飲み物を買いに行くこともできた。
 由梨に対する良くない話を耳にすることが全くないとは言えなかったが、それによってあの弱い自分が顔をだすこともなかった。
 隆之とは相変わらず、すれ違いの日々でゆっくりと話をすることができていなかったけれど、次にそういう機会がとれたなら変に隠したりせずに自分の気持ちを言ってみようと由梨は思っていた。
 言ってどうするのだという気がしないでもないが、今の由梨には必要なことのように思った。
< 115 / 182 >

この作品をシェア

pagetop