続・政略結婚は純愛のように
「馬鹿なプライドだわ。貴方と付き合っていた頃、祥子に嫌というほど言われたの。家柄も良くない後ろ盾もない私とは隆之は釣り合わないって。どうせ遊びの相手としかみられていない、隆之が最終的に選ぶのは今井財閥のような名門出身の女だって…。」

 隆之は目を見張った。
 当時の彼女たちとは、付き合う前に結婚は期待しないでくれと告げてから付き合っていたことを記憶している。
 けれどそれは相手の家柄を考えてではなくただ単に自分自身が結婚に対して否定的だったからだ。
 マリアがそんなことを言われているとは思いもしなかった。

「友達のふりはしていたけれど私、祥子が大嫌いだった。あの子、ことあるごとに私の出身を馬鹿して。イタリア人の父は私が産まれてすぐに蒸発したから、母一人子一人だったでしょう?芸能界なんて後ろ盾がないと上に上がれないのに、モデルなんて無理だって。…結局、隆之とも別れて、祥子とももう付き合いはないけれど、私、何がなんでも見返してやるって必死で這い上がった。…誰にも言えないようなこともしたわ。」

マリアは微笑んだ。
 とても悲しい微笑みだった。
< 126 / 182 >

この作品をシェア

pagetop