続・政略結婚は純愛のように
「…東京の夜景だな。ここで育った由梨には珍しくもないだろう?それともあのスカイツリーを見ると帰って来たいと思うか?」
由梨は自分を囲い込みひと時も離れんとする逞しい隆之の腕に身を任せて首を振った。
「いいえ。私が…、私になれたのはあの街にいられたからなんです。寒くて、雪がいっぱい降って、おいしいものが沢山あって、暖かい人たちがいる、あの街でしか私、生きていけないと思います。」
うっとりとして窓の外を見つめる由梨の瞳には、目の前のスカイツリーの夜景ではなく、雪深いあの街の景色が広がっている。
「そしてあの街のいいところを紹介する今の仕事が最高に楽しいです。隆之さん、ありがとうございます。」
「由梨…。」
由梨は見上げるように隆之を振り替えっていたずらっぽく笑った。
「だから隆之さん、黒瀬主任とケンカしないでくださいね。」
隆之が舌打ちをした。
「由梨の件では気に食わない奴だが、できる社員だというのは間違いない。いっそそうじゃなかったらよかったのにと思うくらいだ。」
由梨は隆之さんったらと言ってくすくす笑った。
それに頭を掻いていた隆之は、少し迷いながら口を開く。
由梨は自分を囲い込みひと時も離れんとする逞しい隆之の腕に身を任せて首を振った。
「いいえ。私が…、私になれたのはあの街にいられたからなんです。寒くて、雪がいっぱい降って、おいしいものが沢山あって、暖かい人たちがいる、あの街でしか私、生きていけないと思います。」
うっとりとして窓の外を見つめる由梨の瞳には、目の前のスカイツリーの夜景ではなく、雪深いあの街の景色が広がっている。
「そしてあの街のいいところを紹介する今の仕事が最高に楽しいです。隆之さん、ありがとうございます。」
「由梨…。」
由梨は見上げるように隆之を振り替えっていたずらっぽく笑った。
「だから隆之さん、黒瀬主任とケンカしないでくださいね。」
隆之が舌打ちをした。
「由梨の件では気に食わない奴だが、できる社員だというのは間違いない。いっそそうじゃなかったらよかったのにと思うくらいだ。」
由梨は隆之さんったらと言ってくすくす笑った。
それに頭を掻いていた隆之は、少し迷いながら口を開く。