続・政略結婚は純愛のように
「そうだな…、確かに今日は疲れた。お昼も結局あの由梨の卵だけだったし、会食も…ほとんど酒ばっかりだ。」

隆之は由梨への攻撃の手は一切緩めることなく淡々として言う。
 加賀家に来てから買ったお気に入りのパジャマの隙間から彼の大きな手が今にも潜り込んできそうで由梨は全身を震わせた。
 そんな由梨を隆之は軽々と抱き上げると二人で使うベッドへ降ろした。
 そして囲うように両手をついて由梨を見つめる。
 もうそれだけで、由梨の身体はどうにかなりそうに熱くなる。
 狼の瞳。
 その目で見つめられて抗うことができるものなどいない。
 それは以前よりももっと強くもっと甘く由梨を縛り付ける。
 本当の夫婦になってこのベッドで彼の愛を受けるようになってからの方がもっと…。
 隆之が自身の首元をくつろげてネクタイをやや乱暴に外した。
 その男らしい喉元に釘付けになる由梨を見てニヤリと笑い唇をペロリと舐めた。

「由梨、…口を開けて。」

 由梨の唇を隆之の親指がたどる。
 これが合図なのだ。
 長い長い二人の夜の始まりの。
 由梨は不思議な色を湛える隆之の瞳を吸い寄せられるように見つめたまま、コクリと喉を鳴らした。
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