続・政略結婚は純愛のように
「社長ファンで、社長と結婚した今井さんを良く思っていない子がいるとしたら、多分総務課よ。」

山辺にきっぱりと言われて由梨は眉を下げた。

「そんなぁ…。」

けれどそう言われてみれば思い当たることが多少はあった。
 各課の忘年会には社長(その当時は副社長だったが)である隆之は短時間であっても大抵は顔をだす。
 受付業務も含まれる総務課は若くて綺麗な女性が多いが、隆之が忘年会へ顔を出した際は群がるように集まっていたのを思い出した。
 当時は由梨は隆之のことを男性として見られていなかったから"副社長って社員に人気があるのね"という程度にしか見ていなかったが、あれが全部隆之のファンだったとしたら今年の忘年会はどうしたらいいのかと弱気になってしまう。

「忘年会の組み合わせって言えばさ、どうやって決めるのかについても噂があるんだよ、知ってる?」

山辺が由梨を意味ありげに見た。
 由梨はキョトンとして首を振った。
 一方で天川は知っていると頷く。

「秘書課は、男性社員の多い課と一緒にならない、でしょ?」

天川が当然のように言った言葉に由梨は声をあげる。

「そうなの!?…あ、でも考えてみれば私がいる間は、ずっと総務課だったような…。でもそれは女性の多い課同士の方がやりやすいからかなぁって思っていました。…違うんですか。」
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