続・政略結婚は純愛のように

社長の陰謀説の真相

「…忘年会？」

スーツのジャケットを脱ぎながら隆之が振り返る。由梨はそのジャケットを受け取りながら頷いた。
　黒瀬のもとに来たメールどおり、隆之はその日の夕方着の飛行機で東京から帰ってきた。
　会社に寄ってさらに業務をこなして由梨が待つ家へ帰ってきたのは２２時を過ぎた頃。
　それでも週末は久しぶりに休めると言う隆之に由梨はほっとする。
　今回のトラブルについては隆之の奔走もありなんとか乗り越えられるというのが大方の見方だが、妻としてはやはり彼の体調が気にかかった。

「出席したらいい。俺に許可など取る必要はないよ。」

そう言ってソファに身を沈める隆之にお茶を入れながら由梨は答える。

「…でも、隆之さんが大変な時に…。」

「大丈夫だよ。それに俺も出席するからね。」