続・政略結婚は純愛のように
隆之は微笑んで由梨が入れたお茶を美味しそうに飲んだ。
 そして立ったままの由梨を見てソファの隣をとんとんと叩いた。

「おいで。」

 由梨は言われるままに少し頬を染めて隆之の隣に座る。
 久しぶりに感じる隆之の甘い香りが妙に気恥ずかしい。
 あのスウィートルームの夜はなんだか二人とも、たがが外れたように愛し合った。
 バスルームでは"体を洗う"という名目で散々鳴かされたし、そのあとベッドへ戻ってからも"一瞬も離してやれない"と言った言葉どおり隆之はずっと由梨を腕に抱いていた。
 その夜のことが脳裏に浮かんで、まだ触れられてもいないのに身体が熱くなり、由梨は慌てて首を振る。
 隆之は2週間の出張でかなり疲労しているだろうに、そばに寄っただけで火照ってしまう自分の身体が恥ずかしい。

「由梨…?」

 隆之は由梨の腰に手を回してすでに紅色に染まる由梨の耳に囁く。

「寂しくはなかった?」
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