続・政略結婚は純愛のように

「由梨…。」

　隆之は観念したようにため息をついて由梨を正面から見た。

「由梨…俺は公私混同はしない。」

　由梨は大きく頷く。
　もちろんだ…そのはずだ。

「…でも忘年会は別だろう？完全に業務外だ。」

「ええ？！」

　由梨は声をあげる。
　社をあげての忘年会なら業務の範囲内のような気がするが詳しい線引きは由梨にはわからない。
　それにしても隆之がこのタイミングで忘年会は業務外だと言うということはまさか…。

「忘年会ではみんな無礼講だと言って随分と弾けるじゃないか。」

　確かに普段は近寄れない隆之に特に女性たちは群がるように集まっている。
　中には腕をとったりする強者もいて、それでも隆之は嫌な顔一つせずににこやかに過ごしている。

「…言っておくが、今年からは完全にくじ引きだ。去年までは…そうだな、秘書課の相手については少しアドバイスをしたかもしれない…。」

「ええ！？」

　じゃあ、＂社長の陰謀説＂は事実だったということなのだ。

「そんな！何のために？！」