続・政略結婚は純愛のように
忘年会
 会社からほど近い老舗の日本料理店で企画課と総務課合同の忘年会が行われた。
 しんしんと雪が降る外とは真逆の熱気に酒を飲まずとも酔ってしまいそうだと由梨は思った。
 部屋に入ってきた時は一瞬総務課の面々が静まり返ったような気がしてどきりとした由梨だけれど、席順はとりあえず各課ごとであったので今は知った顔に囲まれて安心している。
 年末最後の週に突入した隆之はあちらこちらに顔を出す関係で、一時間遅れて会場に到着した。
 総務課からは黄色い声があがり、同時に企画課のメンバーには微妙な空気が流れた。
 しばらくして由梨の隣に座っていた黒瀬が肘で由梨を突いた。

「社長の陰謀説は本当だっただろう」

由梨はなんと答えていいかわからずに俯いたまま日本酒のグラスをくるくると回した。
 前の席では山辺と天川がくすくすと笑っている。
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