続・政略結婚は純愛のように
隆之は彼女たちを満足そうに見て、由梨から見れば嘘くさいと言わざるを得ないほどに優雅に微笑んだ。
 けれどその微笑みにつられて、受付ガールズは皆うっとりと笑みを浮かべている。
 隆之は一歩後ろにいる由梨のところへ戻って来たかと思うと突然肩を抱いた。

「ちょっ…!」

「不埒な社長だと噂になってしまっているようだがそれも仕方がない。俺も5年間の片思いが実ってちょっと浮かれているんだ。だからできたら君たちもあまり彼女に俺の悪口を吹き込んだりしないで暖かく見守ってほしい」

とんでもないことを言う隆之に由梨は目を剥くが、何故か目の前の女性たちは皆一様に笑顔で、わかりましたとか、応援しますとか言っている。
 隆之は老若男女問わず尊敬を集めるリーダーとして評判だが、まさかいつもこんな方法で人を丸め込んでいるのだろうかと由梨が横目に睨んだとき後ろで吹き出すように笑う声が聞こえた。
 振り返ると黒瀬と天川が腹を抱えて笑っている。
 隆之は黒瀬をチラリと一瞥して、再び受付ガールズに微笑む。

「そろそろお開きの時間だ。先に戻って準備しててくれるかな」
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