続・政略結婚は純愛のように
「帰ったらそれを持ち寄って、企画課女子会をする予定なんです。私の家で」

黒瀬の隣でフロアを抜け目なくチェックしながら天川が得意そうに言った。
　一課の山辺や他の女性たちとは、何度か夜の食事に出かけていて、今度は誰かの家に集まろうということになった。

「へぇ、俺は除け者か。入れてくれても良さそうなもんなのに」

黒瀬が軽口をきく。
　ここ数ヶ月の付き合いだけれど由梨は黒瀬流の冗談がわかるようになってきた。
　天川にきついことを言うのは実は相当に彼女を気に入っているからで、一見小競り合いに見えるやりとりでも二人にとってはジャレ合いみたいなものなのだ。

「まさか！！…日頃溜まった主任への愚痴を言い合う会でもあるんですよ。絶対に来ないで下さい。それに、主任が来ることが社長にバレたら、会自体ぶっ潰されそうです。…少なくとも今井さんは来られなくなります」

「あ、天川さんっ…」

由梨は思わず口を挟むが、隆之のことについては強く否定もできなくて口をつぐむ。

「たしかに」

黒瀬は鼻で笑った。
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