続・政略結婚は純愛のように
「光栄です。企画課はチームワークもあるし優秀な人材もそろっています。ご期待に応えられると思いますよ」

 黒瀬の言葉に隆之は満足そうに頷いた。

「ですから来年も今井さんにはテレビに出てもらいます、社長」

さらりと言う黒瀬に、隆之は握り合っていた手を離して顔をしかめた。

「もちろん、それは了承しない」

「なぜですか?」

黒瀬は笑う。

「大成功だったじゃないですか。テレビ局からの評判もよかったですよ。今井さんの可愛いいだけでなく商品への愛に溢れるリポートがスタジオでも評判だったと…今井さん目当ての来場者もいたくらいです」

戯けるように黒瀬は両手を広げる。
 由梨は頬を染めて二人から視線を外した。
 天川はまた始まったと呟いて、にやにやとしている。

「ただ撮影中、社長があまりにも怖い顔で睨むのでやりにくかったというクレームが一緒に回った男性アナウンサーから出ています。来年からは社長は来ないでくださいね」

隆之は舌打ちした。

「あの由梨にべたべたと触ってたやつか。全然やりにくそうには見えなかったぞ。大体、あのかわいい店員さんはいついるんだ?という問い合わせまであったんだぞ。由梨に何かあったらどうする?絶対にダメだ、来年は出さない」

「社長、僕は成功のためにはなりふり構わずやるべきだと言ってるんです。今井さんは来場者アップに大いに貢献してくれた。社長も見習って下さい」
< 177 / 182 >

この作品をシェア

pagetop