続・政略結婚は純愛のように
　由梨は国内きっての財閥、今井財閥の娘である。
　６年前に北部支社の社長に就任した父について東京から北部支社へ来た。
　それからずっとこの秘書室に籍を置いている。
　父は昨年末に亡くなった。
　その時点で東京へ戻らなくてはいけない立場だったのだが、諸事情があり由梨は帰りたくなかった。
　いつ呼び戻されるかと不安な日々を過ごしていた由梨に手をさしのべたのが現社長の加賀隆之である。
　由梨は社長に就任した加賀隆之と結婚し、北部支社に残ることができたのだ。
　その後もすったもんだあったが今は落ち着いて、当たり前の夫婦のような幸せな新婚生活を送っている。
　長坂の言うとおり今井家にいた頃も今いる加賀家も住み込みのお手伝いさんがいて料理を自分で作らなくても良い環境だ。
　しかも北部支社には比較的社員に好評な社食がある。
　お弁当は必要ないと言われればそうかもしれない。
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