続・政略結婚は純愛のように
 隆之は巨大な企業をまとめ上げ率いてゆく責任と重圧を背負っている。
 その背中には数えきれない程の人の人生が乗っているのだ。
 できるならその何百分の一でもいいから、分けて一緒に背負って行けたらと思う。
 けれど自分はまだ未熟でそんなことは到底できないのだろう。
 強くなりたい、と由梨は思う。
 今井家の令嬢という殻を脱ぎ捨てて自由を得た今、自分が望むことはそれだという確信がある。
 隆之に愛され守ってもらうだけの弱い存在のままではいたくない。
 いつか、ゆっくりでもいいから、彼を支えられるような人になって、彼と肩を並べたい。
 彼が出て行ったドアを見つめて由梨はそんな自分の心と向き合っていた。
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