続・政略結婚は純愛のように
「この企画のアシスタントとして入ってみないか。…またアシスタントからで申し訳ないんだが。」

由梨は資料を手に固まったまま視線だけで隆之と蜂須賀を交互に見た。
 蜂須賀は相変わらず穏やかな笑みを浮かべて微かに由梨に頷きかけている。

「…公私混同と言われても仕方がないんだが、弁天酒造に行った日から考えていたんだ。君は趣味だと言うけれどあのファイルにまとめられていた内容は、今この企画に必要なことだと思う。」

そう言われて由梨は改めて企画書に目を落とす。
 物産展といえば人気なのは圧倒的に北海道だが、この地の商品もポテンシャルではけして負けていない。
 地元民しか知らない食べ物や酒などをもう一度発掘して紹介し地域活性化に貢献してゆこうというコンセプトの大規模な企画だ。
 地方公共団体の協賛も予定されている。
 もちろんこの地方最大手の北部支社であればこのくらいの企画はしょっちゅうなのだが、企画は素人の由梨が関わるにしては大きすぎる気がした。
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