続・政略結婚は純愛のように
由梨は瞳を瞬かせて二人を見た。
やってみたいと思った。
自分が会社の役に立つという自信はないけれど、目の前のチャンスに飛び込みたい。
「ただ…。」
再び話し手が隆之に戻る。
「君は私の妻でもあるから、この人事を面白く思わない者も出てくるだろう。それはある意味自然なことだろうと思うが…そのこともあってここ数週間は迷っていたんだ。これも、公私混同と言われても仕方がないのだけれど。」
社長の顔から夫の顔に戻って隆之が由梨を見つめる。
「私は君に成長するためのチャンスをあげたいと思う。…今井のお嬢さんだということで他の社員には当たり前に与えられてきたその機会からは君は除外されていたからね。それが、最終的には会社の為にもなると思う。けれどそれを贔屓だなんだと言われる可能性は大いにある。」
隆之は眉を寄せた。
「私への批判は私が甘んじて受けよう。それが今まで君にチャンスを与えてこなかった私への報いだからね。けれどその批判が君へ向くことを懸念している。…君は畑違いの道を行くことへの苦労の上に余計な負担を抱え込むことになるだろう。それでも…。」
やってみたいと思った。
自分が会社の役に立つという自信はないけれど、目の前のチャンスに飛び込みたい。
「ただ…。」
再び話し手が隆之に戻る。
「君は私の妻でもあるから、この人事を面白く思わない者も出てくるだろう。それはある意味自然なことだろうと思うが…そのこともあってここ数週間は迷っていたんだ。これも、公私混同と言われても仕方がないのだけれど。」
社長の顔から夫の顔に戻って隆之が由梨を見つめる。
「私は君に成長するためのチャンスをあげたいと思う。…今井のお嬢さんだということで他の社員には当たり前に与えられてきたその機会からは君は除外されていたからね。それが、最終的には会社の為にもなると思う。けれどそれを贔屓だなんだと言われる可能性は大いにある。」
隆之は眉を寄せた。
「私への批判は私が甘んじて受けよう。それが今まで君にチャンスを与えてこなかった私への報いだからね。けれどその批判が君へ向くことを懸念している。…君は畑違いの道を行くことへの苦労の上に余計な負担を抱え込むことになるだろう。それでも…。」