続・政略結婚は純愛のように
「どれだけやれるかはわかりませんが、…自信はあまりありませんが、やってみたいです。やらせて下さい。」

知らないうちに膝の上で作っていた拳にぐっと力が入る。

「さっき社長が仰った、他の社員の方からの批判は…当然だと思います。それでも、…全く気にならないとは言いませんが、仕方ないことである以上考えても始まりませんから。」

由梨の言葉に隆之が微笑んだ。

「…やっぱり、君は強い。」

「え…?」

「いや、何か困ったことがあったら言ってくれ。」

 そう言って隆之は立ち上がる。
 そして右手を由梨に差し出した。
 社員を激励するとき、取引先の人とビジネスパートナーとなるとき、彼がそうやって握手を交わすのを何度も何度も見てきた。
 まさか自分がそんなふうに彼の手を握ることになるなんて、思いもしなかった。
 由梨も立ち上がる。
 そしてその大きな手を両手で握りしめた。
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