続・政略結婚は純愛のように
「黒瀬と天川は仕事はできるんだがその分他者に厳しいからな…。あの二人同士も対立しやすくて参ってたんだ。今井さんはそんな二人のちょうどいいクッションになっているよ。」

由梨の話が出る前からずっと、企画課二課のアシスタント問題に陽二が頭を悩ませていたのは知っていた。
　会社というのは精鋭ばかりでは成り立たない。
　それを支える様々なタイプの人間がいてこそ彼らの良さが引き立つ。
　由梨は自らが上に立つタイプの人間ではないが、側に置けばその者の良さを最大限に引き出すことができる。
　会社の中では精鋭と同じくなくてはならない存在だ。
　陽二が同じようにそれを認めたことを嬉しく思いつつもだからこそ、それに気がついていながらも秘書室に閉じ込めていたことに改めて罪悪感を感じた。

「でも隆之、お前が彼女を二課へ寄越したのはそれだけじゃないんだろう。」

陽二の意味ありげな視線が隆之をとらえる。
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