続・政略結婚は純愛のように
一瞬の隆之の沈黙を敏感に感じとった陽二の言葉に隆之は苦笑する。
「だから俺はお前が嫌いだ。」
陽二がはははと声をあげて笑う。
「今まで高嶺の花だったのが手の届くところにあるんだ。…野郎どもが浮き足立つのは仕方がないさ。」
隆之は右の眉を上げた。
「実際、結婚後の彼女の印象は変わったんじゃないか。可愛いらしいのは以前から知られてたけどどこかお人形さんみたいだっただろう。それが最近は生き生きとして…。」
そんなことは言われなくてもわかっていた。
隆之は一番近くでそれを見ているのだから。
蛹の殻を脱ぎ捨てた蝶は今までとは全く違う世界を知り、美しく羽ばたいてゆく…。
「直属の上司はカタブツで有名な黒瀬だ。他の奴らの邪な視線から守るくらいはするだろう。あいつ自身、彼女を相当気に入ったらしいからな。」
隆之は黒瀬の顔を思い浮かべた。
仕事はできるがどこか冷淡で他の社員との衝突が度々報告されている。
それでいてその整ったルックスと実力から女子社員からの人気は高いと長坂が言っていた。
「だから俺はお前が嫌いだ。」
陽二がはははと声をあげて笑う。
「今まで高嶺の花だったのが手の届くところにあるんだ。…野郎どもが浮き足立つのは仕方がないさ。」
隆之は右の眉を上げた。
「実際、結婚後の彼女の印象は変わったんじゃないか。可愛いらしいのは以前から知られてたけどどこかお人形さんみたいだっただろう。それが最近は生き生きとして…。」
そんなことは言われなくてもわかっていた。
隆之は一番近くでそれを見ているのだから。
蛹の殻を脱ぎ捨てた蝶は今までとは全く違う世界を知り、美しく羽ばたいてゆく…。
「直属の上司はカタブツで有名な黒瀬だ。他の奴らの邪な視線から守るくらいはするだろう。あいつ自身、彼女を相当気に入ったらしいからな。」
隆之は黒瀬の顔を思い浮かべた。
仕事はできるがどこか冷淡で他の社員との衝突が度々報告されている。
それでいてその整ったルックスと実力から女子社員からの人気は高いと長坂が言っていた。