続・政略結婚は純愛のように
　黒瀬と二人、企画課に戻ると一課の会議が始まるところだった。
　会議室は課と続きになっていて、ガラス張りだから中の様子はよくわかる。
　ちょうど中央のホワイトボードを背にした席に、マリアと隆之が並んで座るところだった。
　普段の企画課の会議に社長である隆之が出席することは滅多にない。
　けれど今日は大きなプロジェクトの第一回会議ということもあって同席することになったようだ。
　彼は席につくなり熱心に資料に目を通している。
　隣のマリアが資料を指差しながら隆之に何かを囁くと、彼は資料から目を離さないままに頷いた。
　そんな二人の距離感はやはり昨日今日の仲ではないのだというくだらない考えが由梨の頭に浮かんだ。
　いやがおうにも目に入る光景から目を背けようとデスクに戻るとパソコンの画面をじっと睨んだ。
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