続・政略結婚は純愛のように
素直にありがたい言葉だと思った。
 隆之が真っ直ぐに彼女を見てお礼を言うと、わずかに頬を染めて言葉を続ける。

「い、いえ。…それに、社長はご存知かどうかわかりませんが今井さんは器にも詳しいんです。資料整理を手伝ってもらった時に少し話を聞いて…驚きました。二課でアシスタント期間が終わったらぜひうちのチームに欲しいです。」

「あ、お前!抜けがけ!」

他の社員から声がかかって、隆之は思わず破顔した。
 他のメンバーからも笑いが起こる。

「まぁ、それはそのときに決めよう。」

隆之が笑いを堪えながら言うと、陽二がパンパンと手を叩いた。

「二課がこのプロジェクトを成功させたら考えてくださるそうだ。張り切ってやれよ。」

陽二の無責任な宣言に再び笑いが起こるがその言葉をしおに会議が再開した。
 皆が資料に目を落とす。

「…あなたの奥様って、祥子から聞いてたのとずいぶん違うのね。」

 マリアが隆之に囁いた。
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