続・政略結婚は純愛のように
「あぁ、お疲れさま。」
黒瀬ももう帰るところなのだろうジャケットを着ている。
「今井さんなら、もう帰りましたよ。…今日は急ぎの案件もありませんから。定時で。」
隆之は頷いて、由梨の机を撫でた。
「黒瀬君だね。…由梨がお世話になっている。少々複雑な立場の彼女をうまく導いてくれているようだ。ありがとう。」
もうほとんど人がいないとはいえ職場なのに、隆之は思わず由梨を名前で呼んでしまう。
ミーティングルームへ二人で消えていった後ろ姿が頭の中でチラついた。
黒瀬が一瞬目を細めて、ゆっくりと首を振った。
「いえ。使えないアシスタントが来ることにはうんざりしていましたから。逆にこちらがお礼を言いたいくらいです。…とても良くやってくれていますよ。」
黒瀬が微笑んだ。
「僕と天川についてこられるガッツがあるだけでも珍しいですが、それに加えて意欲もある。…育てればいい人材になるでしょう。社長の適材適所のお考え通りだと思いますよ。」
黒瀬が一旦言葉を切って、隆之を真っ直ぐに見た。
「逆になぜ今まで、こうしなかったのかと少々疑問に思ったくらいです。…まぁ、秘書として育てるおつもりだったのだろうとは思いますが。」
隆之は黒瀬の強い視線を受けて、自分の中にある暗い部分を見透かされたような気持ちになる。
黒瀬ももう帰るところなのだろうジャケットを着ている。
「今井さんなら、もう帰りましたよ。…今日は急ぎの案件もありませんから。定時で。」
隆之は頷いて、由梨の机を撫でた。
「黒瀬君だね。…由梨がお世話になっている。少々複雑な立場の彼女をうまく導いてくれているようだ。ありがとう。」
もうほとんど人がいないとはいえ職場なのに、隆之は思わず由梨を名前で呼んでしまう。
ミーティングルームへ二人で消えていった後ろ姿が頭の中でチラついた。
黒瀬が一瞬目を細めて、ゆっくりと首を振った。
「いえ。使えないアシスタントが来ることにはうんざりしていましたから。逆にこちらがお礼を言いたいくらいです。…とても良くやってくれていますよ。」
黒瀬が微笑んだ。
「僕と天川についてこられるガッツがあるだけでも珍しいですが、それに加えて意欲もある。…育てればいい人材になるでしょう。社長の適材適所のお考え通りだと思いますよ。」
黒瀬が一旦言葉を切って、隆之を真っ直ぐに見た。
「逆になぜ今まで、こうしなかったのかと少々疑問に思ったくらいです。…まぁ、秘書として育てるおつもりだったのだろうとは思いますが。」
隆之は黒瀬の強い視線を受けて、自分の中にある暗い部分を見透かされたような気持ちになる。