君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
蒼は入試に向けて勉強する時間が増えて、俺たちと行動することは以前に比べてだいぶ減ったように感じる。
進路資料室に並んでいる色んな資料に目を通しても、どれもいまいちピンと来ない。
俺のやりたいことって、何なんだろう。
「優くん居る?・・・あ、居た」
本棚を前にぼーっと立ち尽くす俺を呼んだのは、チャイムとほぼ同時に教室を出た蒼だった。
いきなりすぎて驚く。
「もう帰ったと思ってた。何?」
「これ俺のカバンに入ってた。移動教室の時机に置いてたの持ち帰るところだったから」
そう言って渡されたのは、見慣れた自分の自由帳だった。
この歳になって自由帳って?
・・・これはただひたすら絵を描く用のフリーノート。
わざわざ返しに来なくても良かったけど・・・。
「あー・・・うん。明日で良かったのに」
「凜ちゃんに見せるんでしょ?大事な物なんだから」
「・・・うん。ありがとう」
「素直すぎると気持ち悪いよ。また明日ね」
蒼から手渡されたそれに、見た目以上の重みを感じた。
律儀で真面目な面を見せたくせに、最後はしっかり暴言を吐いて帰っていった俺の友人。
・・・気持ち悪いって、普通に酷いな(笑)