君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
今日も特に得るものも無く進路資料室を出た俺は、テストの最低点で争っている昂生と妃菜を収集して、凜の病院に向かった。
この帰り道に凜が居なくなって数週間。
蒼が居なくなって十数日。
残ったのは、妃菜と、更にほぼ同時期に受験を終えた昂生、まだ決まってもない目標を求め続ける俺。
・・・五人で歩いていた頃が懐かしい。
こうしてみんながそれぞれの道を歩き始めて、いずれ別れるときが来るんだろうな。
そんなことを考えたら、少し切ない。
「・・・あ、みんな、また来てくれた」
「凜~、昂生に生物の点数負けた!」
「えー、もっと頑張ってよー(笑)」
凜の笑顔は、いつ見ても変わらない。
この無機質な白い部屋も、ベッドに置いてあるぬいぐるみも、窓から見える隣町の森も、全部。
・・・変わらなければいいのに。
「きぃくん、進路は決まった?」
「んー、まだ。考えすぎて頭おかしくなるかも」
「あはっ、そんなに?・・・うーん、きぃくんは何が向いてるかなぁ・・・」
メールでも電話でも、俺は凜に進路の相談をしてばっかり。
・・・いや、正確には、凜がすごく聞いてくる。
何がしたいとか、何に憧れているとか。
俺よりも真剣に考えてくれている気がする。