君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
・・・何も知らないくせに。
俺が今までどうやって生きてきたかなんて、微塵も分からないくせに。
長い時を越えて現れた父親。
それをきっかけに、俺の中で埋もれかけていた幼少期のろくでもない思い出が、今、蘇ってきた。
言いたいことは山ほどあるはずなのに、俺は何も言い返すことが出来ない。
忘れてたんだ。・・・俺は弱い。
自分の親に本音ひとつ口に出せないほど、俺は弱い人間なんだ。
聞こえるのは強い風の音と、それが差し響いてカーテンがめくれる音。
そして、何も出来ない俺の代わりに泣いているかのような雨の音だけだった。