君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
家に帰った俺は、自分の部屋のベッドの上で決意を固めた。
強風で窓が揺れて、ガタガタと音を立てている。
恐ろしいほどに冷たい手を、指を、少しずつ少しずつ動かす。
《俺はもう、凜には会えない。》
たった13文字の、簡潔な文。
・・・ごめん。
俺は君を笑顔にできない。
君の手を握れない。
君に好きだなんて・・・言われる資格はない。
まだ少し冷たい風の中、暖かい陽の光を感じられていたあの春。
・・・きっとそのとき、俺と君は出会うべきではなかった。
俺みたいな人間が、踏み込んではいけない場所だった。
スマホの画面から目を離し、部屋の片隅に置かれたカバンに目を移せば、そこには小さく光る紫色のストラップ。
・・・やっぱり、俺は黒だよ。
もう一度手元のスマホに目を移し、送信ボタンを押した。
「・・・ぁ、うぅっ・・・」
俺の視界はすぐに歪んだ。
不明確な理由の涙は、止まることを知らない。
俺は、闇に堕ちていった。