君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう


______ピーンポーン


・・・

______ピーンポーン


・・・反応は、ない。



きぃくんの家まで歩いて来たわたしは、今すごく疲れている。

普段こんなに歩くことなんてないし、急に動いたせいでか疲労がものすごい。


家に居るのか、居ないのか・・・


スマホは電源を落としたまま、ショックのあまり置いてきてしまった。


きぃくん、どこにいるの?


どこかに行っちゃうの?


離れていかないでよ・・・おねがいだから、どこにも行かないで・・・。


ここに居るよ・・・って、手をぎゅっと握ってくれたことも

大丈夫だよ・・・って、泣かないで・・・って、優しく撫でてくれたことも


絵を描いてるときの笑顔も、声も、全部全部

なかったことになるなんて絶対に嫌。


"長いようで短い夢だったんだよ" って、このまま終わってしまうなんて絶対に嫌!



きぃくんに会いたい。


きぃくんの声がききたい。


彼の家を離れたわたしは、特に目的地もないまま、再び歩き出した。



夕焼けチャイムが鳴り響き、薄暗くなった空には月が浮かんでいる。


頭上では鳥の声が聞こえていた。


< 137 / 220 >

この作品をシェア

pagetop