君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
______ピーンポーン
・・・
______ピーンポーン
・・・反応は、ない。
きぃくんの家まで歩いて来たわたしは、今すごく疲れている。
普段こんなに歩くことなんてないし、急に動いたせいでか疲労がものすごい。
家に居るのか、居ないのか・・・
スマホは電源を落としたまま、ショックのあまり置いてきてしまった。
きぃくん、どこにいるの?
どこかに行っちゃうの?
離れていかないでよ・・・おねがいだから、どこにも行かないで・・・。
ここに居るよ・・・って、手をぎゅっと握ってくれたことも
大丈夫だよ・・・って、泣かないで・・・って、優しく撫でてくれたことも
絵を描いてるときの笑顔も、声も、全部全部
なかったことになるなんて絶対に嫌。
"長いようで短い夢だったんだよ" って、このまま終わってしまうなんて絶対に嫌!
きぃくんに会いたい。
きぃくんの声がききたい。
彼の家を離れたわたしは、特に目的地もないまま、再び歩き出した。
夕焼けチャイムが鳴り響き、薄暗くなった空には月が浮かんでいる。
頭上では鳥の声が聞こえていた。