君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
なるべく音を立てないように階段を下って、改めてその子に近付けば、小刻みに震えてるのが分かった。
「・・・どうしたの、大丈夫?」
「・・・っはぁ・・・はぁ・・・っ、」
「ここから落ちたの、痛い?」
「ゃっ・・・」
「・・・ごめん」
自分でも驚くくらい声が震えたけど、意を決して声をかけた。
質問が救急隊か何かかよ、って自分の中で突っ込んでみたけど、一歩近づいた俺を拒んだこの子は、自分の体を抱き締めて縮こまった。
・・・やっぱり、どこかが昔の自分と重なって。
恐ろしいくらい、心臓がバクバクしてる。
それは決して恋心とか、どうしようっていう焦りではなくて。
・・・俺はこの子が怖い。
そして多分、この子も俺を怖がってる。俺に怯えて震えてる。
忘れたい記憶の中の自分を見てるみたいで、出逢ったばかりなのに、得体の知れない何かを植え付けられた気がしてならない。
「・・・怖いな、ごめん」
「ん・・・、はぁっ・・・」
「えっ、ちょっ・・・大丈夫?ねぇ、おいっ」
目の前の彼女が・・・急に、倒れた。
横に倒れていく身体の先には段差。
頭打つ、ヤバい。って思って、咄嗟に身体を支えた。