君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
・・・いや、何この状況。
とりあえず分かるのは、この子が何かに苦しんでることだけ。
額に滲む汗、苦しそうに肩で呼吸をしながら、胸を抑えてる。
・・・心臓?
「ごめん、少し・・・触れるけど、我慢して」
「はぁ・・・はぁっ・・・」
「・・・脈飛んでる。手冷たいな・・・。ごめん、保健の先生呼んでくるから、待ってて」
俺にだって人の脈くらいは測れる。
俺のどこにどのように隠されていた力かは分からないけど、それはもう冷静に、彼女の手に触れた。
脈拍は早いけど、時々飛んでる。
・・・そして、ビックリするくらい手が冷たい。
俺にはどうすることも出来ない。とりあえず保健の先生呼ばないと。
そう思って立ち上がろうとしたら、冷たいその手が俺の腕を掴んだ。
「い、やっ・・・」
「・・・え」
「いかないで・・・っ、おねがい、だいじょうぶ、だから・・・っ」
「・・・・・うん、分かった」
とてつもなく苦しそうなのに、"大丈夫、行かないで" ・・・って、揺れる瞳で俺を見るから、・・・動けなくなった。
緊急を要する状態なのは分かっていたけど、この子がそれを拒むから。
それを、尊重したいって・・・何となく、思ってしまった俺は、馬鹿なんだろう。