君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
「ぁっ・・・はぁ・・・っ、はぁ・・・」
「・・・苦しいな。ごめん、何も出来なくて」
こうして誰かに触れるのも、だいぶ久しく思えた。
滅多に異性と関わらない俺は、この意味わからない状況に、心のどこかで大混乱していたと思う。
ただ、今この瞬間は、感情を全て失ったのかというくらい落ち着いていて。
・・・苦しいな。辛いな。可哀想に、って。
少しでも苦痛を和らげてやれないかって、無意識にそれだけを考えて、ひたすら背中を摩ってた。
・・・そしたら。
「・・・・・何してんの。あんた誰?」
上から誰か、下りてきた。
「・・・え、いや・・・俺は」
「医者の息子か何か?・・・脈いくつ?」
「え、あ・・・150。大丈夫なの、これ」
「大丈夫じゃないの分かってんでしょ?・・・凜、私が分かる?痛いね、苦しい?」
「んっ・・・ひ、な・・・っ」
「もう少し頑張れ。大丈夫だから」
必死すぎて足音も聞こえなかったし、気配すら感じなかったことに一瞬だけど恐怖覚えた。
俺の腕の中で息をする彼女に近付いて、声をかけて、手を握った もう一人の誰か。
・・・俺の部外者感が否めない。