君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
本当に少しの言葉しか喋れなくなって、朝と夜の記憶しか無いくらい寝ている時間が多くなって
毎日のように来てくれるみんなの会話を聞いて、大好きな彼の手に触れて
受験日を迎え、無事に終えた彼に "お疲れさま" を伝えて
そんな日々を、たぶん一週間ほど過ごした。
「また明日。おやすみ、凜」
「・・・おや、すみ」
眠気で朦朧とする意識の中、いつも通り頭を撫でてくれる彼の優しさに触れたあと、わたしの意識は途切れた。
なんとなく、"また明日" は・・・来ないような気がした。
わたしの隣では、薄紫色のうさぎが寝ている。
・・・夢に、大好きなお父さんが出てきた。
見えるけど、触れない。
会話が出来ない。
このとき、わたしは初めて本当の死に触れた気がした。