君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
何も分からないままだけど、とりあえずあとは任せた。
・・・っていう思いを込めて白石をこの人に託し、その場を去ろうとした時。
「いや、待ってよ」
・・・またもや引き止められた。
「あんた、この子持てるでしょ?連れてって、保健室まで・・・お願い」
「え、いや、・・・俺が?」
「他に誰だよ!早く!この子が苦しんでるの分かるでしょ!?・・・心臓悪いの、お願いだから」
「・・・分かった」
・・・なんだかとてつもなく大変なことに巻き込まれた気がした。
確かに、まぁ・・・女子の一人や二人くらい持てるかもしれないけど。
そもそも持つって表現で良いのかな。
なんて考える暇も与えられず、もう一人の圧に負けた俺は、白石凜を背負って歩いた。
・・・こういうの、俺らしくない。
誰かを助けたり、誰かの頼みに応えたり、誰かの苦しみを分かろうとしたり。
でも、違うんだ。
もしこれがこの子じゃない、他の誰かだったら・・・俺は俺らしく、何も見なかった事にして通り過ぎていたと思う。
白石だから、・・・凜だったから、この時。
俺は、この子を見捨てられなかったんだと思う。