君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
「夜中に、心臓・・・止まって、また、戻ったんだけど・・・っ、凜・・・もう、ダメで・・・っ」
忙しなく動き回る医療者の中で状況を伝えてくれる妃菜と、全く動かない凜を交互に見つめた。
・・・いや、違う。
凜はまだ死なない。
・・・そう、言ってる。
「・・・大丈夫、わかってるから・・・目開けて、凜」
「凜ちゃんっ!」
凜の手を握ればあたたかいし、繋がれたその指は俺の手を握り返そうと頑張っている。
勢いよく入って来た蒼と昂生が、慌ただしいこの状況に焦っているのが分かる。
・・・俺は凜の手を強く握った。
もう一度、目を開けてくれる。
笑ってくれる。
この手を握ってくれる。
根拠のない確信が俺の中にはあったから、動かない凜を前に・・・不思議と酷い焦りは無かった。