君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
・・・そんな願いも虚しく、放課後、帰る準備万端の俺に、白石が声をかけてきた。
「・・・きぃくん」
「・・・何?」
あまりにも冷たい俺の声にビビったのか、白石は「・・・ごめん」って呟いて、俯いた。
・・・俺の方こそ、ごめん。
だけどごめん、何。
冷たい態度取りすぎて長瀬の方が怒った?それを伝えに来た?ごめん。
なんて一人であらゆる仮説を立ててパニックに陥っていたら、目の前の白石が顔を上げた。
「ノート見せてほしかった、んだけど・・・嫌?」
「あぁ・・・別に嫌じゃない。良いよ」
「よかった・・・ありがとうっ」
「うん」
・・・不安要素がひとつもない、大した用では無かった。
どことなくぎこちない会話ではあったと思うけど、カバンからノートを取り出して渡せば、彼女は再び俺に笑顔を向けた。
休んでたぶん、ちゃんと写すんだ。優等生。
そして俺が嫌なのは、俺に話しかけてきた白石ではなくて・・・気持ち悪いニヤケ顔で俺を見る昂生の方だから。
白石に、嫌だとか・・・話しかけないで欲しいとか、俺は別に思ってない。