君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
「なんか、たのしい」
「・・・よし、今日から友達になろう。よろしく」
「いや、なんで?切実になんで?」
「文句あんの?」
「いや、・・・無いけど」
白石の笑顔はたまにしか見ないけど、可愛いな・・・って癒されていたら、長瀬の突拍子も無い発言で何故か友達になることになった。
完全に流れを持っていかれて、昂生はもちろん、蒼まで「あぁ、よろしく・・・」だって。
友達・・・17歳にて、初めての女の友達。
強制的に呼び捨てを要求されて、妃菜、って呼ばないと俺は殺されるらしい。
なんか、だんだん・・・平凡から遠ざかっていくような気がして、俺は少しだけそれを恐れた。
その日の帰り道、昂生と妃菜が盛り上がっている中を抜けて、俺の横に並んだ白石が
「きぃくん、嫌じゃなかったら・・・わたしも名前で呼んでほしいな」
・・・なんて言うから、嫌じゃない。って呟いて。
「・・・ノートは凜がゆっくり書き終わったら返してくれれば良い」
違和感でしか無かったけど、何となくそういえば、凜は笑って「うん、ありがとう」って、言った。
この日。
俺が初めて、凜を名前で呼んだ大事な日。