君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
「きぃくんおはよ」
「おはよう、凜」
「もう暑いねー、夏だねー、嫌だなぁ」
「ふっ・・・(笑) 夏嫌いなの?」
「・・・んー、春が好きかなぁ」
「あー、俺も」
毎日の学校でのきぃくんとの会話は、比較的他愛のないものが多い。
きぃくんが「凜」って呼んでくれるのが嬉しくて、思わずニコって笑っちゃう。
・・・わたしは、夏が嫌いなんじゃなくて・・・
どんどん "わたしにとって最後の季節" が終わっていくのが寂しい。
前みたいに、よく発作を起こすことがあるから、きぃくんが気づいているかは分からないけど・・・
こう見えて、わたしの心臓はものすごく状態が悪い。
17年と少し、必死に頑張ってくれたこの心臓は・・・きっと、もうすぐで力尽きる。
小学生の頃に突き付けられた現実を今ではしっかり受け入れて、向き合っているつもり。
わたしは、18歳まで生きられるか分からない。