君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
家に帰ってから、いつも通りご飯を食べて、お風呂に入って、妃菜といろんな話をした。
寝る前に少しだけお絵描きしよう。って思って、ノートと新品のペンセットを机に広げる。
新品の何かを使うときって、ちょっぴりドキドキするよね。
わたしは大好きな紫色のペンを手に取り、ノートにそれを走らせた。
「・・・あ、間違えっ・・・」
・・・ペンが、手から離れて・・・落ちた。
痛い・・・心臓が、ドクンドクン動いてるのが分かる。
苦しむわたしに容赦無く襲いかかる胸痛、吐き気、そして徐々に乱れていく鼓動。
「・・・ひ、なっ・・・」
たすけて。
たすけて。
しんじゃうんだ、わたし。
こんなに、急に・・・なにも、できないまま。
「凜、・・・凜っ!」
薄れていく意識の中、聴こえたのは妃菜の声。
頭の中に浮かぶのは、わたしの隣で笑ってた・・・きぃくん。
「・・・・・ん・・・りんっ・・・」
もう・・・だめだ。
わたしを呼ぶ妃菜の声がだんだん遠ざかって、胸の激痛に耐えるように目を閉じたまま、わたしは意識を失った。