君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
「・・・お邪魔します」
「いらっしゃい。地味に初めてだよね、来んの。緊張してる?」
「いや、全く」
「まぁそうだよね」
きぃくんが、来た。
久しぶりに声を聞いただけで、胸の奥の方が熱くなって、思わず泣きそうになった。
ソファに座ってるわたしを見つけたきぃくんと目が合って、その瞬間・・・一瞬だけど、悲しそうなあの目を、わたしは見逃さなかった。
「凜・・・」
「へへ・・・きぃくんだ。久しぶり」
「・・・うん、久しぶり」
わたしの知ってるきぃくんだ。
久しぶりだからって、特に変わったことを言うわけでもなく、いつも通りの淡々とした返答。
それがなんだか嬉しくて、だけどなんだか寂しくて、頭の中で渦巻くたくさんの感情を押し切って、必死になにか言葉を探した。
「・・・もう夏休みなんだね。二人は元気?」
「毎日騒がしい」
「あはっ、やっぱりー」
・・・わたしが居ないところでも、当たり前のように世界はまわる。
みんなが変わらずに、元気で居てくれるなら、わたしはそれで良い。