君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
まだ使ったことの無い一番端の教室。
うーん、変わったことといえば・・・なんだろう。窓から見える校庭の位置がほんの少しズレたくらい。
去年はまっすぐ見た先に見えていた桜の木が、斜め前でピンクの花びらを散らしている。
残念なのか喜ばしいのか、担任は去年と変わらず理科の佐伯先生だし、席の位置も大した変わりは無いし、三年になった感じはしない。
そして眠い。
「優人、この人知ってる?俺でも見た事ない名前なんだけどさー」
「・・・いや、昂生が知らない人を俺が知ってるわけないでしょ」
「まぁ確かに。ほら、このさ、白石凜?って子」
「知らん」
「転校生かな、どう思う?あお・・・ってか聞いてる?」
「えー、聞いてない」
「心折れた。寝る。みんなおやすみ」
「寝るな」
プリントに印刷されたクラス表を持って騒いでる昂生がうるさいので俺は寝る。
・・・というか、学年でもだいぶ人脈のある昂生が名前も知らないなんて高確率で転校生だと思う。
こんな時期に転校生なんて来るのか。
まぁ・・・そんなことはどうでもいい、興味無い。
寝るか。