君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
・・・懐かしいなぁ・・・。
お母さんとの思い出はあまり無いけど、お父さんとの思い出は山のようにある。
再婚するって決めた時も、ちゃんとわたしと向き合ってくれて、『凜が嫌なら辞めるから』って言ってくれた。
お父さんの負担にはなりたくなかったし、幸せになってほしかったし、どうせわたしは居なくなるって思ってたから・・・もちろん、賛成した。
わたしはどこかにお出掛けしたり出来ないから、お休みの日は一緒に色んなDVDを見た。
調子が良い日は料理もした。
だから、お父さんが亡くなってからは・・・悲しみに呑まれて、毎日毎日泣いていた。
「・・・だから転校してきたんだ」
「うん。あ、でも今は楽しいよ。妃菜が居て、きぃくんが居て、みんなが居るから。死ぬことは怖いけど、お父さんに会えると思ったらそんなに嫌じゃないかな」
「・・・そっか。ごめん。辛いこと話させて」
きぃくんが申し訳なさそうに、低い声で呟いた。
わたしは全然大丈夫。
あの世に行けば、お父さんがわたしを迎えてくれるから。
将来に生も希望も無いわたしは、とうの昔に、生きることを諦めた。
死にたくない、と思うことを辞めたんだ。